一昨日の日曜日、法事のため久しぶりに少し遠出をしてきました。
そこでふと思い出したことがあるので、今回はそのことを書いてみようと思います。
まだ資格を取る前、祖父の相続手続きを手伝った時のことです。
当時の僕は、法律系のとある試験にはすでに合格していました。大学の法学部を卒業し、別の法律系資格の勉強をしていた時期です。
両親に頼まれて、相続手続きの手伝いをしました。手伝いといっても役所に同行する程度のことでしたが。まず必要になるのは、皆さんもご存じのとおり戸籍謄本。被相続人の出生から死亡までのもの、ですね。
「戸籍を揃えることぐらい簡単にできるでしょ」
そんなふうに考えていました。実物を手にするまでは。
最初のうちは読めます。横書きの戸籍なので。それが縦書きになり、手書きになり…。ひとつの戸籍に孫も入ってくる頃(戦前の戸籍ですね)には、祖父の名前を見つけるので精一杯。中身は理解できていないし、家系図も書けませんでした。
「たぶんこれで揃ってると思う。揃ってなかったらダメって言われるでしょ。」
といって手続きを進めたのを覚えています。
「法律の知識を持っていること」と、「実物の戸籍を読み解くこと」は、全く次元の違う話なのだと、身に染みて痛感した瞬間でした。
じゃあ、司法書士試験に合格すれば、最初からスラスラ読めるようになるのか?
それも違います。
司法書士試験の科目に「戸籍の読み方」はありません。合格したての頃は、実物の古い戸籍(明治や大正のものなど)を前に、誰もが一度は頭を抱えます。
いま、世の中の大半の司法書士が戸籍を完璧に読み解けるのは、試験でその知識を教わったからではありません。
資格を取ったあと、経験を重ねて学んできたからです。もちろん、座学で得た知識が土台になっているのは間違いありません。でも、僕たちを本当の意味で相続の専門家にしてくれたのは、資格を取ったあとの現場での経験です。
月日が流れ、僕が司法書士になってから、最後の祖母が亡くなりました。
その時の相続手続きでは、戸籍に書かれている「家族の繋がり」や「その変遷」を、ちゃんと読み解くことができました。
「ああ、僕はあの頃から、ちゃんと実務家として歩んでこられたんだな」
そんなふうに感じたことを覚えています。
だから、もし今あなたが戸籍を前に「さっぱり分からない!」と頭を抱えていても、それは仕方のないことなのです。法律を勉強していたかつての僕が、全く読めなかったのですから。
法事に向かう道の途中で、ふとそんなことを思い出していました。

