前回の続きです。
「費用倒れになるなら、自分で内容証明郵便を送ってみよう!」と考えた柏木さんが、AIに文案を作らせてみた、という設定で検証します。
「さっき言ってた内容証明郵便を作ってほしい。」とAIにお願いしてみました。
AI(Gemini)が作成した内容証明の文面
通知書
東京都〇〇区……(通知人:柏木さん住所) 通知人:柏木 〇〇 殿
愛知県名古屋市……(被通知人:田狩さん住所) 被通知人:田狩 〇〇 殿
前略 通知人は、被通知人に対し、以下の通り通知いたします。
1.通知人は、被通知人に対し、令和7年10月15日、被通知人の家賃支払いのための資金として、金5万円を貸し付け、被通知人の指定する銀行口座へ振り込みました。
2.被通知人は通知人に対し、上記借入金について「来月には必ず返す」旨の約束をしましたが、期限を半年経過した現在もなお、支払いがなされておりません。
3.また、通知人は同日、飲食代金3,000円を立て替えましたが、これについても未精算のままです。
4.よって、通知人は被通知人に対し、本書面受領後1週間以内に、合計金5万3,000円を下記振込口座に支払うよう催告いたします。 (振込先口座情報)
万一、期限内に支払いがなされない場合は、不本意ながら、法的手続き(支払督促、少額訴訟、および強制執行等)の準備に入ることをあわせて通知いたします。
以上
いかがでしょうか。前回のアドバイスに沿っていない部分もありますが(期限の書き方の部分)、文案としてはよくできていると思います。
でもこれを見て「やっぱり難しそうだな…」と感じた方もいるかもしれません。また「専門家ではないのにこんな文書を書いていいの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
なのでここからは、「私にはハードルが高い」と感じている方に知ってほしい、私が相談のときにお伝えしていることを3つお話しします。
1つ目:内容証明郵便もお手紙
「内容証明郵便」と聞くと、何か特別な書類のように感じるかもしれません。でも本質的には「いつ、誰が、どんな内容を誰に送ったか」を郵便局が証明してくれるだけのお手紙です。
もちろん後々の裁判でも使えるように、最低限のポイントを押さえる必要はあります。そのために本などで書き方を調べる手間はかかるでしょう。その意味では、少し難しく感じてしまうかもしれません。
でも本質は「お手紙」です。
「専門家じゃないから書けない」とか「自分で書いてはいけない」なんて思う必要はありません。あまりに過激な言葉は控えたほうがよいとは思いますが、ポイントを押さえつつ、書きたいことを書けばいいんです。
2つ目:ちゃんと内容を確認、理解、納得する
AIが作った文案であっても、送る前には必ず自分自身で内容をしっかり確認、理解、納得してください。これから先、この「お手紙」をもとに相手と交渉することになるからです。
「よくわからないけどAIが書いたから」という部分があると、そこから足元をすくわれる危険があります。もし難しい言葉や条文が出てきたら、必ず調べてみてください。
ただ、個人的には「難しい専門用語や条文は削る」ことをおすすめします。
難しい言葉を使うよりも、「自分の言葉」で話せる内容にしておくこと。それが結局、安心して交渉に臨むことにつながります。
3つ目:覚悟は必要
内容証明を送ったら、相手も「本気なんだな」と察します。返事が来るにしても無視されるにしても、現状が動き出します。気持ちの準備ができているか、送る前に一度だけ自分に問いかけてみてください。
余談:文案に関して
今回AIには「内容証明を作って」とだけ指示し、それ以上のことは指示していません。でも、出来上がった文面には、事例設定にはない事実がユーザーに確認することなく創作されていました(日付の設定はないのに、令和7年10月15日に貸し付けたことになっています)。このことからも、できあがった文面は必ず確認しなければならないことがわかりますね。
まとめ:AIで形を作り、自分の言葉に変換することが大事
AIは、内容証明の「形式」を整える点においては優秀なパートナーになります。AIをうまく使うことができれば、ポイントを押さえた文書を作ることができます。
大事なのは、AIに丸投げして終わりにするのではなく、その内容をしっかり自分のものにすることです。難しい言葉で背伸びをせず、自分でちゃんと説明できる言葉を使うことが、結局は自分自身を守ることになり、安心して交渉を進めることにつながります。
次回は、内容証明を送ったのに解決しなかったという想定で、AIに相談を続けてみます。

